CREAM SODA 7

 森永さん、この本以外、何もやってなかったかもしれない。いつもピンクドラゴンのことばっかり考えてると思うよ。週に一回は山崎さんと連絡とってるんじゃないかな。しかも四十年くらい。尊敬してると思うよ。永遠に。この本も、もう一体化してるところあるよ。山崎さんの語りの中に、森永さんの思想も、ちょっとだけ入ってるんですよ。でも、それは、バッサリ切っちゃったのね。じつは、西尾くんっていう、この本のモニターがいるんですよ。最初の読者。山崎さんの秘書で、二十三、四才なのかな。かれに若い人代表になってもらって。つまり、「これはボクの知ってる山崎さんと違う!」っていう部分があって。それは、森永さんの思想だったのね。「こんなムツカシイこと言わないんじゃないか」とか。でも、そのくらい憑依しないと、こういうのって、書けないと思ったけど。しつこいしね、森永さん。何回も聞きに行くしさ。一回、大失敗して、まるまるテープ入ってないときがあって。テープがおかしかったの。もう捨てたけど、そのテープ。寸くんが、幽霊っぽいって言ってたでしょ。それは、森永さんが憑依して、幽霊になって書いたんだと思うよ。願望も入ってると思うけどね。山崎さんは、こんな風に言語化できないもの。もちろん、嘘は書いてないしさ、本に書いてあることを言ってるんだけど、文章としては、ここまでまとまってない。山崎さんは、とにかく、ネガティブなことは一切載せないでくれって。そういうのダメだからって。だから、病気の話とかも聞いたけど、全部、削ったよ。ポジティブな人ですよ、山崎さんって。なんでもいい風に解釈するの。まー、ヘンな人ですよ、山崎さんって。ぼくもいろんな人に会ったけど、かなりヘンな人ですよ。最初はロッカビリーの偉い人だから、怖いイメージあったけど、そんなこと全然なくて。偉ぶらないの。部下にも呼び捨てとかしないよ。「くん」付け。最初に会ったのは、クイックジャパン創刊号で、ぼくが森永博志さんにインタビューしてるんですよ、50ページくらい。ピンクドラゴンを借りて、森永さんを撮影したんですよ。そのときに、山崎さんにご挨拶したんです。その次は、リトルモアですよ。リトルモアが『ドラゴンヒート』とかいう、エリック・コット監督の映画作ったでしょ。山崎さんをモデルにした映画なんですよ。パーティーをピンクドラゴンでやったのね。初めてピンクドラゴンの奥へ入れてもらって、ご挨拶したんですよ。そのときは、すご〜く、弱々しく見えた。病気だったのかもしれない。力がない、生気が欠けてる人みたいなかんじ。今のほうが、全然、元気ですよ。

宝はいつも足元に